帝王を越えた闇の貴公子
(デスクリムゾンレビュー)

 このタイトルはちょっと格好良すぎかも(^^)。このコーナーでは史上最凶の迷作として名高い、超魔王デス様こと「デスクリムゾン」のレビューを述べたいと思います。メガドライバーだった僕としては、まさかあの帝王ことソダンを越える潜在能力を持ったゲーム等未来永劫出るはずが無いと思ってたのに(^^)。


初めに、デス様を知らない人へ

その方が幸せかもしれません(^^)。デス様は、エコールソフトウェア(現レインディア)が発売したバーチャガン対応のガンシューティングゲームで、96年に彗星の如く現れセガサターンマガジン誌において初登場1.0909点というほぼ未曾有の点数において読者レースの最下位帝王に君臨した偉大なるソフト。そのゲーム性は全国のユーザーを魅了し、プレイしたユーザーはこぞって「メーカーロゴがうなされそうな程不気味」、「しかも飛ばせない!」、「オープニングが意味不明すぎる!」、「30秒でゲームオーバーになる!」、「メガドラのゲームかと疑ってしまうグラフィック」、「ゲームオーバーになったらまたロゴからやり直し」、「バーチャガンの標準合わせが一発だけ」等の大反響を(阿鼻叫喚ともゆう)よせており、そのあまりの出来の悪さは単なるクソゲーというレ ベルを越えた魅力を醸しだし、今もなお全国のクソゲーファンを魅了し続けてます。ちなみに最近では、ライトユーザーの間にもその名は広まり、かなり知名度の高いソフトになっている模様で(^^)。

 

とりあえずプレイ

 とりあえず何はともあれプレイしてみる事に。が、あっさり瞬殺。初プレイで目標としていた30秒以上位はもった様な気はしますが、思わず呆然。「やりやがったなぁ」の音も出ません。...5分後再度挑戦。しかし、結果は殆ど同じ。はあ。まあ一度攻撃食らい始めたらほぼ終わりっていう緊張感はいいデスけど、所詮バーチャコップ2の初級もクリア出来ないぬるガンシューターの僕には手に負えるゲームではありません(そういう問題でも無い気もするが)。しかし世の中にはこのゲームをクリアしてしまう強者もいるらしいです。そういう人達にはぜひゴルゴ13の称号と殺しのライセンスを差し上げたいと思います。

 

オープニング考

 このゲーム最大のウリといえば意味不明の素晴らしいオープニング。その凄さを述べてると枚挙に暇がありませんが(もうかなりの人の手によって検証されているし)、僕なりに冷静に考えてみるとその大きな要因は、見事なまでの「説明不足」にあると思われます。開発者が何も知らないユーザーが見るという事を全く想定してない客観性に欠けた自己満足的、内輪的な演出の結果(執筆活動を始めた頃の初心者がよくやる事。人の事は言えないが^^)に色々な要因が重なって偶発的にあの様な不可思議なオープニングを作り上げてしまったって感じです。もう少しきちんと説明出来なかったのかなあ。

 という事でいくつかのシーンを僕なりにフォローしてみたいと思います。

「上からくるぞ!気を付けろ!」

 といいながら階段上ってます(^^)。せめて上空から敵が攻撃してくるのを映して、

 「上からくるぞ!気を付けろ!」

 「ちっ、とりあえず遺跡の中に逃げ込むぞ!」

 とかなんとか言ってからなら階段昇っても不自然じゃ無い様な...

「なんだこの階段わぁ?!」

 明らかに昇った時と同じ階段のグラフィックなのと、すでに階段を降りながら叫んでるのが原因。ここの階段は少し変な模様等を入れて、いったん彼らを立ち止まらせ、

 「なんだこの階段はぁ?!」

 「だが、前に進む道はここだけだ。引き返す訳にもいかない。」

 「とにかく行ってみようぜ!」

 とまあ一応少し議論した上で行くといいのでは。

「せっかくだから俺は赤の扉を選ぶぜ!」

 問題の場面(^^)。どう見ても目の前に一つしか扉が無いのが原因。とりあえず扉が赤くないというのは棚にあげておくとして、

 ここはまず実際にあるはずの3色の扉全てを映してから、

 「今度は3色の扉か...俺達を試しているのか?」

 「例によって他に道は無し...か。」

 「越前、お前はどれの扉に入る?」

 「そうだな。だったらせっかくだから俺は赤の扉を選ぶぜ!」

 「...いいのか?」

 「考えても仕方が無いさ。その時間も無い。」

 「...そうだな。よし。じゃ俺は青の扉に入るぜ。」

 「残りはか。仕方ないな。」

 「じゃ、同時に入るぜ。」

 (そして、3人はそれぞれ選んだ扉に入った。)

 だあああっ、これでもやっぱ変。ホント何がせっかくなんだよぉぉ(爆)。

「こうして越前はクリムゾンを手に入れた」

 何がこうしてなんだ(^^;)?もう少し位説明を付け加えてみては?

 「敵に追い込まれるという形で謎の遺跡に入った越前達。そこには異形の階段、3色の扉等まるで3人を試しているかの様な光景が待ち受けていた。己の勇気と傭兵生活で培ったカンを頼りに赤の扉を選んだ越前。扉を開けた越前の前には異形とも言える一丁の銃が安置されていた。そして、取り付かれる様にしてその銃を手に取る越前(越前は呪われてしまった^^)。こうして...」

 つ、繋げ辛い...(繋がってない様な気もする。^^)このオープニングに出てくるセリフ全て使うのを条件にして、デスクリオープニングシナリオコンテストなんてやったらその人の文章レベルが如実に現れそう。誰かやってみます(^^)?何かえらく疲れそうだけど。

確信犯か天然か?

 このゲームの初プレイの後、新調したばかりのサターン本体と借り物のこのソフトへの怒りを通り越した殺気を必死で抑制しながらふと考えたのは、このゲームのクソゲーぶりは果たして天然かそれとも確信犯か。このゲームのクソゲーぶりははっきり言って半端なレベルではありません。そして、だからこそここまでの多くのファンを持っている訳デスが。つまり、ゲームの評価と知名度が見事に反比例している訳です。もしかしたらわざと狙ったのかもしれない、こう考える人も少なくはないと思いますね。

 とりあえずこのゲームの制作動機を考えてみましょう。うーん、どう考えても

「バーチャコップと同時に発売されたバーチャガン対応のゲームが不足してるので、他のメーカーに先を越されないうちに速攻で出した。」

 だよなあ。このソフト不足な状況なら出せばある程度は売れるはず。ゲーム史的に見ても二番煎じは結構元祖と同じ位ヒットしてます。(飢狼伝説、卒業、FF、鉄拳等)ただし、それは水準以上のクォリティと、何か一つでも元祖に負けない要素を持っていればの話。いくらサードパーティ第一弾でもこれじゃ...ねえ(^^)。

次に主人公のプロフィールに着目。

 コードネーム:コンバット越前(本名:越前陽介)

 好きな食べ物:焼きビーフン

 ....どう見ても露骨にウケ狙って外したとしか思えない設定ですが(^^)、同時にかなり投げやりなものも感じたりするのは気のせいでしょうか(^^)?でも確信犯的な馬鹿ゲークリエイターでも「コンバット越前(何かのパロディなのか?)」とか「焼きビーフン」とかいうセンスはちょっとやそっとでは出ないでしょね(^^)。設定でもあくまで主人公は格好良くという世の中の平凡な流れに真っ向から対立しています。

 素敵なグラフィック、ゲーム性

 やっぱ制作を焦ったんだよなあ。まさかあのレベルで高い評価を受けると本気で考えてたとは思えません。何でもいいから出しましたっていうのが見え見え。

 で、結論

 どう考えてもバーチャコップの二番煎じを狙って、他のメーカーに先越されない内に充分な制作時間もかけずに、殆ど未完成のまま出したとしか思えません(クソゲー誕生の典型的パターン)。そしてあのゲームのスタッフの天然ボケとも言えるセンスが重なり、このゲームをあそこまでのレベルに仕立て上げてしまったっていう正に偶然が産んだ異端児。それがこのデスクリムゾンなのでしょう。もし逆に充分な制作時間があったらただの中途半端なクソゲーで終わっていたと思います(ぱおーん見てるといくら時間があっても正統派な名作は難しいかなと^^)。あとこのゲームの意義は国産であるという事かな(^^)。まさか国産で史上最凶のクソゲーが出ようとは。え?おそ松くん?

  

 さて、このゲームを作ったエコールソフトウェアは、今度は社名をレインディアに変更し恋愛シュミレーション「ドリームジェネレーション」(略してドリジェネ)を発売するそうです。かなり豪華なスタッフを起用して起死回生を狙っている様で、墜ちる所まで墜ちた汚名をどこまで晴らせるか楽しみだったりします(別に皮肉ではなくて)。某ページで「スイートハート物語」ってタイトルを聞いた時は、相変わらずイケてなさそうなオーラが漂ってましたが(ドリジェネも結構安易な気もするけど^^)。 

もっとデス様を知りたい人へ

 この記事を読んでもし「せっかくだから俺はもっとこのゲームの魅力を調べてやるぜ!」って思った人がいれば、ぜひ「デスクリムゾンリンク集〜せっかくだから俺はこのリンクを選ぶぜ」に行ってみて下さい。このゲームがいかに愛されているか、非凡な魅力に溢れているか思い知るでしょう。
 ちなみに禁断の果実度は90%を軽く越えていると思われ、ここを訪れる事によって自分のゲーム観がひねり曲がったり、気づいたら無意識にクソゲーと呼ばれるゲームを求めて電気街を俳諧する様になっても一切責任を負いかねます(^^)。
でもさ...結局だよね(^^)。

 

追記:





勿論クリムゾナーを始めDCユーザーの方々には周知の事実でしょうが、現在エコールソフトウェアはドリームキャスト向けにあのデスクリムゾン2を開発している様です。HPの画像を見る限りは思ったよりはるかに(失礼)期待できそうですね。ロゴが飛ばせない、ダメージを食らった後の無敵時間は無し、ストーリーが相変わらず意味不明(^^;)と前作のテイスト(ファンサービス?)を残しながらもかなりまっとうなベクトルで開発が進んでいるっていう感じがします。良くも悪くもこれだけ注目を浴びている訳ですからデスクリ2の出来次第では一気に起死回生のチャンスなんでしょうけど。この姿勢は好きですね。是非デスクリ2を成功させてセガプラットホームの名物メーカーの一つになってもらいたいものデス(今でも充分名物だろうけど^^;)。

 

 

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