姫子「支倉先輩が愛子お姉ちゃんのこと好きだったなんて・・。」
ポコ太「元気出して。いつもの元気いっぱいの姫ちゃんが僕好きだよ。」
姫子「やっぱり私みたいな騒がしくてオテンバで男の子みたいなのより美人で女性らしいお姉ちゃんの方が先輩好きなんだ・・。」
ポコ太「そうだ!お姉ちゃんに変身して先輩と一回デートすればすっきりするかも!」
姫子「まさか・・。そんなことで。」
ポコ太「ほら!景気づけにいつものやるよ!いけいけゴーゴーッ!じゃーんぷっ!」
姫子「そ、そだね・・。試しにデートしてみる!いけいけゴーゴーッ!じゃーんぷっ!」
(元気にぴょんぴょん飛び跳ねる姫子とポコ太)
姫子「パラレル パラレル 愛子お姉ちゃんにな〜れ!」
姫子@愛子「ごめんなさいね。急に喫茶店に呼んだりして。」
先輩「そんなことないよ。僕たち付き合ってるんだから。」
(一時間近く話し込む二人)
姫子@愛子「ごめんなさい。ちょっとお手洗い。」
(トイレの鏡の前に立つ姫子@愛子)
姫子@愛子「ルレラパ ルレラパ 元の姿にな〜れ!」
(逃げるように喫茶店を後にする姫子)
姫子「ただいまポコ太」
ポコ太「さすが演劇部員だね。中身もお姉ちゃんだったよ。」
姫子「エヘヘ・・なんか照れるな。」
ポコ太「ねえ姫ちゃん。一時間以上変身してると一生元の姿戻れないよね。そうしたらずっと先輩と付き合えるよね?」
姫子「何言ってるのポコ太・・本物のお姉ちゃんがいるじゃない。」
ポコ太「姫ちゃんは先輩のこと大好きだよね?」
姫子「うん。」
ポコ太「もう一回聞くよ?一時間以上変身してると一生元の姿戻れないよね。そうしたらずっと先輩と付き合えるよね?」
姫子「・・・・うん。付き合える。」
姫子「ねえ、お姉ちゃん。今度の図工の時間に金槌使うの。あるかな?」
愛子「ええ〜と。押入の奥にあるとおもうけど。探してあげるね。よいしょっと・・。」
(後ろ向きに腰をかがめる愛子)
姫子「あっ、お姉ちゃん。金槌あったよ。」
愛子「え〜?どこどこ?」
姫子「私の右手。」
(何度も繰り返し姫子の手に握られた金槌が愛子の頭を砕く。)
愛子「ひィ・・めぇめ゛こ゛・・・・・。」
(息を引き取る愛子)
(数時間後、夕飯を呼びに来た母花子が愛子の死体と愛子の服を着て化粧台の前でポーズをとり恍惚の表情を浮かべる姫子を見る。そして野次馬、パトカー、救急車(ムダ)に囲まれる野之原家)
(数ヶ月後、精神病院にいる姫子の母花子と父太郎)
医師「娘さんは破瓜型精神分裂病です。名前の通り思春期に発症します。妄想、幻覚、幻聴が主な症状です。」
花子「じゃあ・・ポコ太ポコ太とよくぬいぐるみと喋ってたのは・・。私はてっきり演劇の練習かと。」
太郎「あんな無口でおとなしく物静かな子があんなことをするなんて・・。」
医師「それは陰性症状のせいです。事件の時は陽性症状に変わったのでしょう。陽性症状には薬が効きますが陰性症状に効く薬はありません。入院ということになります。」
花子「そういや近所の奥さんが喫茶店でひとりなのにまるで誰かと喋ってるみたいな姫子を見たとか・・。」
(病室で虚ろな目で鏡を見つめる姫子)
姫子「ほんとエリカって私にそっくりね。魔法の国の修行って大変なんでしょ?一年間自分と同じ顔をした人間を観察し日記つけないといけないんだから。エヘヘ、まあ私はエリカのくれたリボンで変身できてとっても楽しいから私は嬉しいけど。あれ?病院の入り口から出て行くのって先輩じゃない?そうよ!絶対そうよ!あ〜今から追いかけてもここ10階だから間に合わない〜。あっそーだ。パラレル パラレル 鳥さんにな〜れ!
*******終わり******