ハッピー・ゴースト

 

センパーイ、ルーファスセンパーイ!

どうした、ラシェル? そんなにあわてて・・・

それがね、町外れの洞窟に幽霊が出るんだって! ボクたちの出番だよ!

よし、さっそく行ってみよう。しかし、こんなときに他のメンバーはどこに行ったんだ? デイル先輩までいないじゃないか。

なにやってるの、センパイ! ほらほら、善は急げだよ!

仕方ないな・・・とりあえず、二人で様子見に行ってみるか?

うん!

(――というわけで、二人はさっそく噂の洞窟に入りました。)

肌寒い・・・こんなことなら、上に着るものを持ってくるんだったな。

もう、センパイってば! そんなことじゃ、立派な冒険者になれないよ? 冒険者たるもの、人並みはずれた適応力が必要なんだからね!

・・・冒険者になるのはラシェルだろう? 俺は冒険者になるって決めたわけじゃないぞ。

センパイ、男らしくないなあ。ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと奥に行ってみようよ!(ずかずかずか)

おい、待てよラシェル!

なんか、白いもやが出てきたね・・・あれ、誰かいるよ? ねえ、誰?

ラシェル、よく見ろ! 身体が透き通ってる・・・幽霊だ!

えっ!? ・・・ちぇっ、センパイが大声出すから消えちゃったじゃないか。

ラシェルが気付いてないから教えてやったんじゃないか・・・

・・・・・・ねえ、センパイ。これ、なんだろう?

ブローチ・・・いや、ペンダントかな。鎖がついてないけれど、ほら、ここに鎖を通す穴が開いてる。

ふ〜ん。いちおう拾っておこっと。

待て、ラシェル! そのペンダント、妙な気配が・・・

えっ?(バシッ!!)うわっ!! な、なに!?

大丈夫か、ラシェル!?

・・・あれ・・・なんか、胸がキュンってする・・・な、なにこれ・・・!?

おい、ラシェル。どこに行くんだ!

わ、わかんない。なんか、この洞窟の上の森に行かないといけない気がするんだ・・・

待てよ、ラシェル! ・・・まさか、幽霊に取り憑かれたのか!?

(勝手に歩いていくラシェルに、仕方なく着いていくルーファス。洞窟を出てしばらく歩くと、暗い森に入りました。どうやらラシェルはここを目指していたようですが・・・)

・・・昼なのに真っ暗だなんて、気持ちの悪い場所だな・・・ラシェル、ここに何があるんだ?

こっちね、ジュード・・・(く、口が勝手に・・・気持ち悪いよー、センパーイ!)

ジュードって誰だよ、ラシェル・・・こわすぎるぞ。

ここ、ここよ・・・(えーん、ボクだってわからないよー!)

こんな所にほこらがあったとは知らなかった。小さいし道がないから、誰も気付かなかったんだろうな。

やっと会えるわ・・・ジュード・・・

おい、勝手にほこらを漁ったりして・・・それはまずいって、やめろよ、ラシェル!

あった・・・ああ、ジュード・・・!(ほこらの中から銀のナイフを取るラシェル)

(ラシェルの様子がおかしい・・・とにかく、このあたりで拾ったものを手放せよう!)ほら、それをこっちによこすんだ、ラシェル!

やめて! 私のジュードを奪わないで!!(ふえ〜ん、身体が勝手に動いちゃうよ〜〜〜!)

いいからラシェルから離れろ! まずはそのナイフを・・・(バシッ!!)うわっ!!

ああ、ジュード・・・ずっと会いたかった・・・やっと私のところに帰ってきてくれたのね・・・(せ、センパイまで変になっちゃった・・・?)

・・・イゼリア・・・迎えに来てくれたのか・・・(ちょ、ちょっと待てよ・・・俺まで取り憑かれたのか!?)

ジュード、お願い・・・あのとき出来なかった口付けを・・・私たちの永遠の愛の証に・・・

愛してるよ、イゼリア・・・俺たちはこれからずっと一緒なんだ・・・(ちゅっ・・・)

・・・身体の自由が戻った・・・あの幽霊たちは、天に召されたのか・・・?

・・・そ、そうみたいだね・・・(センパイと、キス・・・しちゃった・・・)

(後日、図書館の本から詳細を知る事ができました。この国の騎士ジュードは、敵国の少女と恋に落ちていました。少女が間諜の疑いをかけられて洞窟で殺された後、騎士は自殺してしまいました。その後少女の無実が証明され、騎士たちを哀れんでほこらが建てられたそうです。)

(ぱたん、と本を閉じて)死んでからやっと結ばれるなんてな・・・

・・・ボクは、結ばれるんだったら生きてるうちのほうがいいな。それにボクたち・・・ね、センパイ♪

うわ、いきなり飛びつくなよ、ラシェル!(汗)

****なんていうか、おわじ****

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