(屋上へ続く扉を開けるさくら)知世ちゃん.....いる?
(呼ばれて振り向く知世)......お待ちしておりましたわ。さくらちゃん(にっこり)。
どうしたの?二人だけで話があるから急に屋上に来て欲しいって......大事なお話?
.....ええ。どうしてもさくらちゃんに伝えておかなければいけない事がありますの。
ほぇ?知世ちゃんが?わたしに?
はい(にこっ)。ですから.....もっとこちらに来ていただけますか?
う、うん....(何だろ?)
さくらちゃん......(さくらの手を取る)
......何?.....あれ?知世ちゃん....震えてる?
......そんな事ありませんわ。ご心配なさらずに。
(そういえば今日の知世ちゃんの表情もいつになく真剣......ホントどうしたんだろ.....?)
さくらちゃん.......
はい?
さくらちゃん.....私、さくらちゃんの事が.....好き......です
え?.....あ、あはは。何かと思えば.....(^^;) わたしも知世ちゃんの事大好きだよ(にっこにっこ)。
.....いいえ。.....私の「好き」とさくらちゃんの「好き」はきっと違う意味だから.....(ぎゅっと抱きしめる)
ほ、ほぇぇ(汗)?それって.....もしかして.....
.....さくらちゃん.....私.....さくらちゃんの事......世界中の誰よりも愛して.....
ほぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!
(じりりりりりりりりりりりりりりり)
さくらー!朝やでーーー!
(がばっ)はっ!? .......夢(汗)? ふう。
何や嫌な夢でも見たんか?
いや、別にそういう訳じゃ無いんだけど......
(.....さくらちゃん.....私.....さくらちゃんの事......世界中の誰よりも愛して.....)
うーん....(汗)
どないした?
(少し考え込んで)ううん。何でもない......ってああっ!もうこんな時間っっ!!!(ばたばたばた)
.....相変わらず忙しないなぁ
*****で、学校*****
おはようございます。さくらちゃん(にこにこ)。
あ、おはよ。......知世ちゃん。
?どうかなさいました?
え、い、いや別に.....何でもないから心配しないで。(いけないいけない.......)
それならよろしいのですけど.....
(......知世ちゃんがわたしの事.......どうなのかなぁ?) ちらっ(知世ちゃんの方を向く)
?(きょとんとする知世ちゃん)
うーん.....
???
*****お昼休み*****
さぁお昼だお昼♪一緒にお弁当食べよ、知世ちゃん。
ええ、もちろん(にこっ)。
んじゃいっただっきま〜すっ☆もぐもぐ
くすくす。相変わらず幸せそうですわね。お弁当食べておられる時のさくらちゃん(にこ)。
そ、そう(かあっ)? でもお父さんのお弁当大好きだから♪
........ところでさくらちゃん今日はどうなさいましたの?
どうって?
いえ、今日の朝のさくらちゃん何かいつもと少し違っていたので.....何か悩みでも?
(ぴたっと食べる手を止めて)........うーん.......別に悩みって訳でも無いんだけどね.......ね、知世ちゃん?
はい?
わたしの事.....どう思ってる?
どう.....って....
あ、あはは(汗)。ゴメン。いきなり変なこと聞いちゃって(汗)
くす。もちろん.....私はいつでもさくらちゃんの事大好きですわ。
(ぽっ)そ、そう?わたしも.....だよ。あはははは。
くすくす .......でも多分私の「好き」はさくらちゃんとは少し違うでしょうけど......
.......え?
いえいえ。こちらのお話ですわ。それより早くご飯食べないとお昼休み終わってしまいますわよ。
う、うん......(.....私の「好き」とさくらちゃんの「好き」はきっと違う意味だから.....) うーん......
あら?まだ何か悩みでも?
う、ううん。そんな事ないよ。あははは。(お弁当をぱくぱくっ)
(知世ちゃんにとってのわたしと....わたしにとっての知世ちゃん......やっぱり違う.....?)
*****でその日の夜*****
で結局今日はどないしたんたんや?何か少し変やで?
うーん......なんって言うか......自分の気持ちがよく分からない.....というか整理つかなくなっちゃって........
雪兎のにーちゃんと何かあったんかいな?
(ぽっ)え、えええ べ、別に雪兎さんがじゃ無くて、その......(あれ?やっぱり雪兎さんと聞くと真っ赤になってる......)
(コンコン) さくら、いるか?
ほぇ?お兄ちゃん?ち、ちょっと待って......(ケロちゃん、早く) あ、うん。入っていいよ。
(がちゃ)よう。
......どうしたの?
いや、別に.....ただ今日はお前の様子が少しおかしかったんでな。何かあったのか?
あぅ。お兄ちゃんにまで心配かけてたのね.......うーん......
俺で良ければ言ってみな。相談に乗ってやらん事もないから。
.......じゃあ.....ね、お兄ちゃん?
あん?
.......お兄ちゃん、もし、雪兎さんに「好き」って告白されたらどうする?
はぁ(汗)?
い、いや。何となく.....
どう.....って言われてもなぁ(ぽりぽり) 大体いいのか?俺にそんな事聞いて......もし......
え?
.....いや、何でもねぇ。それより.....もしかして知世......ちゃんと何かあったのか?
何かあったって訳じゃ無いんだけどね。自分の気持ちが混乱してきて......
混乱?
あのね.....わたし、夢見たんだ。知世ちゃんに告白される夢。
(物陰の奥で)なるほど。さくらはそれが予知夢.....だと直感したんやな。それで.....
.....そうか。
「わたしの事が世界の誰より好き」だって。
友達として.....じゃ無くてか?
うん.....それで急に知世ちゃんの事意識する様になって、わたしにとっての知世ちゃんの存在って何なんだろう.....って考え始めたら.....
でもゆきが好きなんだろ?お前は?
うん.....それも嘘じゃない....今でも雪兎さんを思い出すとドキドキして止まらなくなってくるもん.....でも.....最近は知世ちゃんの顔もよく浮かんで来るんだ.....
ふーん....それで、自分にとって一番好きなのはどちらなんだろう?って考える様になったって訳か?
わたしね.....雪兎さんも....知世ちゃんも.....そして小狼君もお兄ちゃんもお父さんもお母さんも....知世ちゃんのお母さんも.....みんな大好きだよ。でも.....
同じ「好き」でも、絶対一人にしか上げられない「好き」があるもんな。
うん......でもわたしにとってそれは.....誰なんだろうって。
......成る程な。
今までは雪兎さんだって.....信じていたけど......でも.....
でも?
わたしの中の知世ちゃんの存在が日に日に大きくなってきて....気づいたら雪兎さんが知世ちゃんに変わってしまっている時もあって.....
無意識の中にこそ真実が浮かび上がるって言うからな。でもその気持ち分からないでもない.....かもな。俺も同じだったからな......
え?お兄ちゃんも?
......詳しくはノーコメントだ。それより.....そういう事ならいい方法がある。
いい方法?う....
(両肩を抱いて)まずは目を閉じて心を落ち着けろ。
.....こ、こう?
そして.....心を無にするんだ。何も考えないようにしろ。
そんなの無理だってば(^^;)
そうか。それじゃ.....気持ちを一点に集中するんだ。そして.....イメージしてみろ。自分自身をな。自分自身と向かい合うんだ。
う、うん.....
*****その頃大道寺邸*****
(食堂、夕食後に)
知世?どうしたの?
え?何がですの?
いや、突然溜息なんか付いて.....何か悩み事?
いいえ別に。今の私....凄く幸せですから(にこっ)。
幸せ?
はい。優しいお母様に恵まれて、周りもいい人ばかりですもの。それになにより......あの方に出逢えたのが......知世にとって最大の幸せ.....ですわ(うっとりとした表情で)。
あの方.....さくらちゃんの事ね。さくらちゃんの事.....好き?
はい(にっこり)。
......どういう「好き」?
(少し赤らめて)おそらく、お母様の撫子さんへの「好き」と同じ「好き」ですわ。
......そう。
でも....ただ一つ.....
何?
もし撫子さんが藤隆さんと結ばれなかったら.....さくらちゃんと出逢えなかったんだって思うと.....その.....何かお母様に申し訳なくて......
(........) ふふっ、気にする事なんて無いわ。むしろ......あの時.....枯れてしまうんじゃないかっていう位流した私の涙が......結果論とはいえ知世にとっての最高の幸せに結びついたのなら私も救われた気分になれるもの。これでよかったんだって......多分そう思えることは一生無いでしょうけど......それでも......
......お母様.......そう言っていただけたら知世も救われますわ。
(くすっ)生意気言ってるんじゃないの。こいつっ。.......あ、そうだ。知世、そういう事ならちょっと付いてきて(おもむろに立ち上がる)。
え?どちらへ?
いいから♪(知世の手を引っ張って行く)
(園美の部屋)
ここはお母様のお部屋.......一体どうされたんです......?
(知世には目もくれず)えーっと......確かここに......あった。知世、これ。(知世の方に振り向いて宝石箱を手渡す)
(受け取ってそっと宝石箱を開いてみる)......わあ、綺麗な指輪......しかもペアになっているんですね。
でしょ?私が直々に選んだものですもの。
でもこの指輪は一体......?
(部屋に飾ってある撫子の写真を見ながら)これはね......私が16の時......いつまで経っても私の気持ちに気づいてくれない撫子に.....自分の本当の想いと共に渡そうと思って買った物なの。エンゲージリング.....みたいなものね。
......お母様.......
.....でも結局この指輪は撫子の指にははまらなかった......撫子の左手の薬指にはもう別の人の.....木之本先生の送った婚約指輪がはまっていたから......
......そう.....なんですか......
それで結局撫子にはこの指輪を見せずに.....そのまま両方とも箱に閉まって今まで取って置いたの......あのときすぐに捨ててしまわなかったのは......多分最後まで諦められなかったから......なんでしょうね。
........(悲しそうな表情で母親を見つめる知世)
その後.....撫子が亡くなってしまった後も何気なく閉まっておいたのをさっきふと思い出してね。知世にあげようと思って。
......いいんですか?だってこれは......
......いいの。もうこれは私が持っていても仕方がない物だもの。それより......知世があの娘.....さくらちゃんの事が好きになったのなら.....これは知世が持つべきだわ。
お母様......
だから.....この片方の指輪をさくらちゃんにプレゼントしてあげなさい。ね?
.....はい(にっこり)。
よしっ。......お話はここまで。後は.....ううん。私が心配する事じゃないか。私は私、知世は知世だもの。
.....そう.....ですわね。
ふふ......(向こうを向いたままで)ゴメンね知世.....少し.....一人にさせて。
あ、はい......それではお休みなさい、お母様......
お休み、知世......
(ぱたん).....(涙をうっすら浮かべて)ありがとうございます。お母様........
(知世が去った後に)
......これで.....これでいいんだよね......こういう運命だったのなら......喜ばなきゃ......いけないよね......撫子......ううっ
****さくらの部屋
.....いいかさくら。自分の本当の気持ちを知るには自分と向かい合うんだ。
自分と.....?
.....人間ってな、自分の気持ちをいつも自分自身で理解している事ってそんなに多くは無いものなんだ。特に人に対する気持ちとかはな。
.....お兄ちゃん.....
落ち着いて自分の心を見据えてみろ。そうすればきっと本当に自分が想う者の姿が浮かぶはずだ。
う、うん....
ま、そういう事だな。んじゃな。
え?もう行っちゃうの?(桃矢の方に振り向いて)
(さくらを指さして)俺がいたら気が散るだろうが(汗)。こういうのは一人にならないとな。(そう言うとさくらの部屋を出る)
.....お兄ちゃん..... ......やってみよう(そのまま心を落ち着けてそっと目を閉じてみる)
(ドアの外で小さく呟く)ま、この方法は俺で実証済み.....だからな。
.....自分と向かい合う....か..... !.....あれ?.誰かがわたしを呼んでいる......? 呼んでいるのは.......
****そして次の日
......知世ちゃん。やっぱりここにいた.....
(振り向いて)さくらちゃん.....よくお分かりになりましたね。私がここにいるって......
......うん。何となくそんな気がしたから.....
くす。それはさくらちゃんの予知能力で.....ですか?(にこっ)
......ううん。違うよ。何となく知世ちゃんに呼ばれた......そんな気がしたから。
私に......?ふふっ、きっと私たちの魂が呼び合ったのでしょうね。
多分ね(にっこり)。
......さくら.....ちゃん......
知世ちゃん......わたしね、知世ちゃんに聞きたいことがあるの。
......何でしょうか?
知世ちゃんの......本当の気持ち。知世ちゃんの「好き」の意味を........
******おわり(エンディングは丹下桜のPlivate linkあたりかなぁ?)******