近未来TVショー(SmashTV)
さて、久々の馬鹿ゲーレビューの対象は、知る人ぞ知るスマッシュTVのアーケード版デス。
このゲームはWilliams Electronics Games Inc.というメーカーから1990年にアーケードゲームとして発売されていて、日本でアーケード版が出回ったかどうかは不明ですが、スーファミが出た後の割と早い時期に移植されていて、馬鹿ゲーやクソゲーサイトを回っているとぽつぽつレビューを見かける所から結構馬鹿ゲーフリークの人達に愛されているゲームみたいデスね。
ゲームのストーリーの舞台は近未来のTV番組で(と言っても1999年だから既に過ぎているんですが^^;)、1999年、世紀末の世の中で更に過激な娯楽に飢えた視聴者のニーズに応えるべくTV業界は「命」を売り物にした過激な番組がもてはやされるようになったという、まぁサイバーパンク系の世界観としてはまぁありがちなストーリーです(笑)。でこのゲームの「Smash TV」もその中の命を売り物にしている番組の一つで、賞金や暴力表現が特に高い番組として人気を呼んでいる番組なんだそうで、プレーヤーはそのSmash TVの幸運なチャレンジャーとなって一攫千金を夢見て戦いの場に挑むというお話。
命を売り物にしたTV番組と言えば、何となくアーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画「バトルランナー」を連想させますが、まぁこの映画とゲームの登場時期が近い所からもしかしたら影響があったのかもしれません。ちなみにバトルランナーではチャレンジャーは殺されて当然と視聴者に思わせる程の犯罪者達でしたが(シュワちゃんの場合は濡れ衣でしたが)、このスマッシュTVのチャレンジャーは一般人です。ムキムキの上半身裸の男で、その見事なまでのサル面はいかにも「ヒャッホーイ、人気TVに出られて賞金もザックザックだぜイエーイ!」みたいな、殆ど何も考えずに応募してみたという脳天気さが出ています。映画の脇役なら多分真っ先に殺されるタイプです(笑)。ええ。
ゲームのシステムは、上から見下ろし視点の画面固定タイプのシューティングゲームで、一つ一つのフロアに出てくる手に持ったマシンガンや出てくる特殊武器で敵を皆殺しにすると次のフロアに進め、そして一番奥のフロアに待ちかまえているボスを倒せば1ステージクリア。そしてスタジオでそのステージの賞金総額を精算して次のステージに進んでいき、トータルで全部で3ステージ+αというステージ構成になってます。操作は8方向レバーと4ボタンでそれぞれのボタンで上下左右それぞれの方向に撃ちます。ちと慣れるまで戸惑いますが、慣れれば非常に快適な操作系です。
んでこのゲームの難易度ですが、とりあえず1コインクリアは絶対不可能と思われます。だからといって2コインなら何とかなるというレベルでもなくて、もう20〜30クレジットは当たり前って感じで(汗)。洒落にならないくらいの敵の数と、敵にかすっただけで死んでしまう死に易さが相まってかなり凶悪です。
というかこのゲーム遊んでいると、ふと「ポリスノーツ」のレッドウッドの名台詞である、「生きるか死ぬかじゃない、何分で死ぬかだ。」が浮かんできたりします。いや、このゲームの場合何秒で死ぬかだデスけどね(^^;)。良く保っても精々一分デス。はい。
ゲームスタートするとスマッシュTVのスタジオから、観客やカメラにアピールしてこっちに見向きもしない司会者に煽られながらバトルアリーナに向かっていきます。ちなみに初期で持っている武器はマシンガン一丁。
そしてフロアに入るや否や、上下左右から木の棒を持った敵がウジャウジャと沸いて出てきます。いや、比喩ではなくてホントにそんな感じで、ハネアリがウヨウヨしているのが嫌いな人とかは少し気持ち悪くなること必至デス(^^;)。で、それを手持ちのマシンガンで皆殺しにするわけですが、真正面から乱射しても殆ど撃ち負けます。つか敵そのものは一撃で死ぬんですけど、あまりに敵が多すぎて皆殺しにする前に突破されて撲殺されるんデス。ええ。
ちなみに殺伐とした雰囲気のこのゲームらしく、敵を殺すと派手に飛び散ってくれたりして、主人公も死ぬときは体中のパーツを飛び散らせながら盛大に死んでくれます。目や頭なんて拡大して飛び散ってきてますし(^^;)、なかなかビジュアル効果は高いデス。
んでまぁ流石にこれだけの相手に手持ちのマシンガン(連射機能付き)だけだと心許ないので、ゲーム中はフロアにロケットランチャーや拡散ショット、オプションに無敵等の様々な武器が出てきて(出現した武器のアイコンパネルを取る)、球数制限のあるこれらの武器をうまく繋いでいくのが死なないコツです。というか殆ど運次第なんですけどね(笑)。
ちなみに武器の中で一番凶悪で不可解なのが、弾丸の様なパネルの武器。これを取った瞬間、司会者の「びんごぉっ!」という叫びと同時にそのフロアにいた敵は全て一瞬で木っ端みじんになります。........ゆーかこれ、ナニ???
実際は多分ナパームか何かなんでしょうけど、これ俺の目には殺され役のエキストラの体内に予め爆弾を仕込んでいて、あれを取ると起爆スイッチが働いてその場にいた全員木っ端みじんに.......とも見えるんですけど(スイッチの電波の有効範囲はそのフロア分だけって事で)。
ちなみにあれを取った時に、画面にウヨウヨいる敵を一気に掃討出来るのはなかなか爽快なんですが、同時にもし自分があの場に立って、何十という敵が同時に体中の肉片を飛び散らせながら散っていく様を見たらもう二度と肉が食えなくなるだろうなぁと考えるとちょっといや〜んな感じもなったりします(^^;)。また、このゲームの敵に太った武装したキャラがいて、彼らはフロアにのたのた歩いて来たと思うと、突然自爆してその飛び散った破片でプレーヤーを攻撃してくる奴も居たりして、「命の尊さ」について真剣に考えてみたくもなったりします。
まぁそれよりも謎なのはこのTVスタッフはどうやってこういった殺され役を集めたのかという事なんですけど。マシンガンもった相手に棒だけで猛然と突撃していくなんてとても正気の沙汰じゃありませんし。当然自爆攻撃君も。
で、それはともかくステージを進める中で、事あるごとに司会者がカットインで左右に水着のねーちゃんをはべらかせてニヤニヤしながら「ぐっらっく! ゆーにーでぃっ!」とか、「びっぐまねーびっぐぷらいぜす! あいっどらぶいっと!」等と煽ってくれるんデスが、非常にムカつきます。つかあの顔自体が見るだけで滅茶苦茶ムカつくんですが(コラコラコラ)。
.......まぁ、結論から言えば実は後で彼を少し見直したんですけどね(笑)。その話は後にするとして、続いてムカつくのがボーナスステージ。実は各ステージに一つか二つ程ボーナスステージのフロアがあって、そこにはお金やら賞品やらが画面一杯に散らばってるんですが、それと同時に地雷もあちこちにセットしてあって、欲に任せて拾いまくっているとどっか〜んと。そして観客は「ワー」と大喜び。........ムカつきます。しかもこのゲームの場合、アイテムの出現時間が非常に短いため、一度死ぬと復活した頃には画面を埋め尽くしていたアイテムは綺麗さっぱり無くなってます。..........非常にムカつきます。でもスタジオの観客には手が届かない場所にいるため、仕方がないので腹立ち紛れに敵を殺すわけですが、それをやっていると何か殺され役の敵が妙に哀れに思えてきたりして(^^;)。ホントに何の因果で彼らはこんな所で人生を終えているんだろう???
ちなみに敵を殺しまくっていると賞金(金(or銀)塊?)や賞品が出てきます。それらを集めてクリアすると賞金に変えてくれる訳ですが、それらの賞品はステージ毎に違っていて、VCRプレーヤー、TV、車、バケーション、旅行鞄、ゲーム機(しかもSmash TVの)、トースター等があるんですが、3面では賞品の中に肉というのがあります。一応高級ブランド肉.......らしいんですけど、何かここまでゲームをしていると思わず嫌な想像をして引いてしまうというか、今まで殺してきた何百人という殺され役の人達の処分はどうやっているんだろう等と考えると何かとても喜んで拾い集める気にはならないんですが、まぁどのみち後で現金に変換出来るのでその迷いも一瞬のことだったりもします(笑)。どうせ食うの俺じゃないし(をいをい)。
まぁともかく、先述した通り、各ステージの最後にはボスキャラ達がいて、一面は体の上半身が人間の人間戦車で、2面は人間の顔の円盤、そして3面は地面から2本の首が生えているツインコブラ。どれも負けず劣らずの凶悪な顔してますが、彼らを倒せばめでたくステージクリア。出口からスタジオに戻ってトータルの賞金額を算出するんですが、普通にプレイすると一面だと大体200万ドル程度になります.......つーかあれだけやって2億円ちょいというのもなぁ.........
ちなみにザコを殺しても賞金が入るんですが、これが一人500ドル、そしてプレーヤーが死ぬと10ドル貰えます。.........全くもってムカつきます。どうやらこの番組のスタッフはチャレンジャーの事などゴミとしか思っていない様で。まぁ二桁程違うといっても500ドルの雑魚さん達も扱われ方はそれ程大差は無いんですが(寧ろ生き残りようが無いぶんこっちの方が酷い)。
とまぁ何やら命の尊さを考えるとどうにもやるせなかった一面ですが、2面はメインの敵が機械になります。これならあまり罪悪感を考えなくて済むんですが、逆に物足りなく感じる辺りがかなりヤバめデス(笑)。3面はアリーナから遺跡みたいなステージになって、妙な化け物と機械と人間と蛇の混合が襲いかかって来るんですが、自分と同じくらいの大きさの蛇がウヨウヨと大量に襲いかかってくるのはちと悪い夢見そうで非常に嫌な感じデス。
そして、何とかそれも切り抜けて3面ボスを倒すと、ステージが唐突に2面のアリーナになり、哀れなエキストラさん達を初めとする1,2面の雑魚達が大量に襲いかかってきます。ちなみにここが最終ラウンドで、ここの面は実際は他の面と比べて短く実質的にはラスボスとの戦いがメインなんですが、そのラスボスはなんと生体改造を施したあの司会者なんデス。いやぁ、思わず彼を見直しましたねぇ(笑)。番組の為ならここまでするという、ちょっと狂気の入ったこの行為、まさに真のエンターテイナーと言えましょう。惜しむらくは実際は一面ボスに上半身CGを変えただけという所なんですが(笑)。まぁいいでしょう。
実際は彼に似せたロボットという話しもありますが、まぁこっちの説の方が面白いので(笑)。
そして狂気と欲望の入り交じった激闘の末に彼を倒すとオールクリア。長く苦しい戦いが終わり(実際一時間以上は軽くかかるのでプレイ時間は長いでス^^;)エンディングに。最終的な賞金額は2000万ドル位行くので一応一生遊んで暮らせる額にまではなりますが、今までやった事を考えればやっぱりちょっと少ない気もしますネ(^^;)。
んでゲームの総合評価なんですが、やっぱり難易度の高さからゲームとしてはちょっと破綻していると言わざるを得ません。画面や演出は結構派手ですし、操作レスポンスも決して悪くない。4ボタンの操作性も快適なんですけどね。ちと敵の数が多すぎというか、良く当時の基板で殆どちらつかせずにあれだけ処理しているもんだと妙に感心してしまいます(^^;)。
でもこのゲームの企画は大変面白いと思います。色々重箱つつきやりましたけど、TVのバラエティ番組の雰囲気も良く出てますしよく練られていると思いますね。それと、もしかしたらこのゲームの脳天気でそれでいてえげつない程の残虐性は、売れるためなら何でもやって良いという方向に暴走するテレビ業界への制作者の痛烈な皮肉の込められたアンチテーゼなのかもしれないと思ったり.........しますけどやっぱそんな訳無いか(笑)。
まぁ、実際このゲームを今日本で遊ぶとなればスーファミ版くらい(移植したのはアスキーだったかな?)ですが、機会があれば一度遊んでみてもいいと思います。メンタル的にも色々遊べるゲームですし(笑)。
追記:どうやらゲームギア版もあるみたいデス。近所の中古屋で偶然目撃^^。
あ、それとその時は2人プレイも是非試してみてください。このゲームほど相棒の存在が頼もしいと感じるゲームは滅多にありませんから。
つーか、4人位で遊べたら丁度良いんじゃないかと思うんですけどね。